週刊おたく茶話

オタク文化についての雑感を記事にしています。ブログ名は週刊誌風っぽくしていますが、更新は週1回やり続けるというわけではありませんのでご了承ください。

コミケでの徹夜組発生の原因(限定販売・チケット問題)

前回の記事の続きとなります。コミケで徹夜をしている人達は何を目的にそのような行為に及んでいるのかと言うと、「徹夜しないと買えない可能性の高い物を購入するため」というのが理由かと思われます。実際、コミケでは会場限定販売物が多数存在し、「ルールを守って始発電車で来ても入場した時点で目当ての物が売り切れてしまっている」という事例が大手サークル・企業ブースともに毎回多数発生しているので、この事が徹夜組が発生する原因になっていると考えるのが自然です。

しかし一部では「人気が高く品数が少ない物はサークルチケット・スタッフチケット(略称サクチケ・スタチケ)で先行入場した人間によって買い占められるんだから、徹夜しても意味はない。徹夜組は徹夜行為自体をイベントとして楽しんでいるだけだ」という主張が見受けられる事もあります。確かに入場チケットを持っている人(チケット組)はレアなグッズの争奪戦で他のどの一般参加者よりも圧倒的有利になれるのは間違いありませんし、実際に「某大手サークルのグッズはチケットで入場した人達と徹夜先頭グループしか買えない」という話はよく耳にします。でも、徹夜行為自体を目的にして楽しんでいる人なんているんでしょうか?特に冬コミの場合だと当然寒空の下で待機し続ける事になるわけですし、あまり若くない人なんかは体力的に厳しいでしょう。そんな事でお祭り気分になって楽しめる人なんて、いたとしても例外中の例外でしかないのではないでしょうか。「始発電車で行ったら、あと一歩の所で買えない」ような所が複数あるかもしれませんし、何らかのメリットを感じて徹夜してる人が多数派であると考える方が自然だと思います。そうでなければ、良い番号の徹夜整理券を入手するためにネットで仲間を集うという手間のかかる事をする人なんていないでしょう。

前述した「徹夜無意味・徹夜行為自体を楽しんでいるだけ」論にはもう一つおかしな部分があります。サークルチケット・スタッフチケットの保有者がレアなグッズを買い占める事を、さも当然の権利であるかのように語られていますが、そもそもこれが問題なのではないかという事です。サークルチケットはブースの売り子のためだけでなく、一般参加者よりも先に会場内に並んで買い物をする「買い子」のためのチケットがありますが、当然「買い子」用のチケットを譲ってもらうにはサークル主催者とのコネが必要です(スタッフチケットも同様だと思います)。つまりコネの有無でとても大きな待遇格差が生まれてしまうわけで、コネの無い一般参加者が強い不公平感を抱き、「特権階級扱いされている奴らがいるんじゃ建前だけのルールなんか守ってられない」みたいな感じで徹夜に走らせてる面もあるのではないでしょうか。

結局の所、売る側のサークル・企業が需要に対して明らかに少ない供給しか用意していないという事と、現状のコミケの制度(チケット組優遇)への不満がコミケで徹夜組が発生する原因だと思います。特に「コミケ限定販売」という売り方を改めれば徹夜組は綺麗さっぱりいなくなると思います(入場チケットが高額転売される問題も無くなるでしょう)。

 

と、ここまでコミケの徹夜問題について書きましたが、そもそもコミケ準備会が徹夜を本当に問題視しているのかというと甚だ疑問なんですよね。前回の記事で書いたとおり、徹夜組の先頭グループはコミケスタッフとつながってる疑いが濃厚で、徹夜を黙認していると言うより積極的に支援しているような状態です。チケット制度についても、購入物にプレミア価値がつく限定販売制度についても、コミケスタッフは受益者側なので自分の既得権を変えようとする可能性はきわめて低いでしょう。

よく「コミケにお客様は存在しない」というスローガンが唱えられていますが、これって「お客様は神様です、ならぬサークル様・スタッフ様は神様です」という意味で唱えられているのかなと疑ってしまいます。

何にせよ、もし「どうやってコミケから徹夜組を無くそうか」と考えるのであれば、まず徹夜整理券問題等のコミケの影の部分を直視した上で「どうやってコミケのあり方を変えるのか」という事を考えないと意味が無いと思いますよ。

 

次回は「階級社会化したコミケ・オタク社会」という方向で書けたらいいなと思ってます。それではー。