週刊おたく茶話

オタク文化についての雑感を記事にしています。ブログ名は週刊誌風っぽくしていますが、更新は週1回やり続けるというわけではありませんのでご了承ください。

階級社会であるコミケ(通信販売・受注生産を何故やらないのか)

明けましておめでとうございます。今回は「階級社会であるコミケ」というテーマで記事を書きたいと思います。

 

前回の記事で書きましたように、コミケは非常にサークルやスタッフ関係者等のチケット入場者に有利なシステムになっており、「チケット入場者だけでグッズが完売してしまう」というケースはサークルスペースでも企業ブースでも毎回発生します。コミケ等の即売会でのグッズ獲得競争はよく「戦い」等と表現される事がありますが、チケットを持たない一般入場者は「戦い」に参加すらできないまま終わるという事が多々あります。そして買えなかった人達がどうしても欲しい場合、同人専門店やネットオークションで倍以上の価格がついて転売されている中古品を泣く泣く買う羽目になるのです。

しかし、そもそも数量限定販売という頒布方法でなければ、このような問題は最初から起こりません。例えば企業はコミケで売り切れた商品の通販を後日実施したりしていますが、そんな後出しじゃんけんみたいな事をせず最初から通販を実施すればいいのです。これは同人サークルにも同様の事が言えます。オタクの皆様方にはいまさら説明するまでもない事だと思いますが、グッズを早期に完売させるような人気の大手サークルを主宰している人達の大多数は、企業で仕事しているプロのイラストレーター・漫画家であって素人ではありません。当然、プロの作家であれば受注生産等の対応をとる能力を持っていますし、実際にコミケでの頒布物を後日受注再販したという実例はいくつかあります(具体的なサークル名を挙げるのは角が立ってしまうのでご容赦ください)。受注生産に対する反対意見として「キャンセルが出たら在庫の管理・処理に困る」というものがありますが、人気の作家のグッズなら需要が高く、在庫を捌ける機会はたくさんあるはずなので懸念材料にはなりません。このように「最初から通信販売・受注生産を実施してもらう」という案は実現可能であり、チケットを入手する事ができないオタクにとっては、格差が無くなりグッズが購入可能になる上、わざわざ高額な交通費・宿泊費を浪費して暑い中や寒い中でひたすら列で待つ必要性も無くなるので良い事尽くめです。

 

ですが前回の記事で指摘しましたように、このような改革はコミケ等の即売会を仕切るスタッフやサークル参加者の既得権を無くす事になる為、実現する可能性は低いと言わざるを得ません。サークルに取り置きを頼んだり買い子を用意したりする事ができるスタッフやチケット入場者にとっては「一般参加者は逆立ちしても買えないプレミア価値の高い頒布物を自分は楽々と購入できる」という現状に魅力を感じているわけで、そういう現状(特権)を変更しようとする動きには断固抵抗するでしょう。売る側の方にしても、「限定販売にして無理矢理プレミア価値を作れば物が売れやすくなる(いわゆるハングリー・マーケティング)」と考えているであろう事は容易に想像できます。

仮に百歩譲って売る側の限定販売システムを認めるにしても「毎回毎回、チケット入場者だけでグッズが完売してしまう」というサークルが存在するという事に関しては全く理解できません。普通なら「今回はチケット組の人しか買えなかったようだから、次回はもっと多くの数量を用意しよう」という発想になりそうなものですが、実際にコミケに関して「前回はチケット組しか買えなかったけど、今回は始発組でも何とか買えた」というサークルがあったという報告は今まで見た事がありません。おそらくはハングリー・マーケティングという目的だけでなく、自身の人気振りを演出するためにわざと供給量を絞ってるのだと思われますが、こういう自己満足的なやり口はグッズを買う事ができない大勢のオタク(そのサークル主宰者のファン)達を馬鹿にしてるようにしか見えません。

また、グッズが買えないという不満に対して「本当にコミケで買いたい物があるなら頑張ってサークルやスタッフとのコネを作る事ができるはずだ」という反論が唱えられたりします。しかしこれは単なる根性論でしかないですよね。オタクにはコミュニケーションが苦手という人が結構多いと思われますが、この種の根性論はそういった人達を無視しています。そもそもコミュニケーション力が高くてもコネが作れるという保障はありません。こういう根性論を主張する人達は結局、「サークル参加できない・コネを持ってない奴らはいいから黙ってろ」と言いたいだけなのでしょう。

 

と、ここまで書いて改めて考えてみると、コミケというものは強い立場のオタク(「オタク上流階級」と仮称)が自らの利権を維持するために、弱い立場のオタク(「オタク下流階級」と仮称)へ色々しわ寄せして成り立っているのだなとつくづく感じます。一種の階級社会であると言えますね。企業・サークル・チケット組から、グッズを買えないオタク下流階級を蔑視したような対応や声(象徴的暴力)が出てくるのも「自分達は特権階級」という意識から来てるというのもあるのではないでしょうか。

こういう階級社会化した構図をオタク下流階級の側から変えるのはなかなか難しいでしょうが、初めて投稿した記事で指摘したようにコミケは「オタク文化の象徴」あるいは「表現の自由の砦」であるかのように美化されて喧伝される事が多いので、「こんな滅茶苦茶な実態がある」と騒ぎ続ければ少しは現状の階級社会構造へのダメージとなってゆくゆくは変化の兆しも出てくるかもしれません。当ブログはコミケに限らず、オタク社会の歪な所を「おかしいじゃないか」と騒いでいけたらいいなと思います。

 

前回のテーマの限定販売・チケット問題と内容がかぶってしまいましたが、今回はここまでといたします。それでは~。